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中国経済 2016
しぼむ投資 上がる人件費
中国の中部、湖北省の省 都・武漢の中心部には、中 央政府が直轄する国有企業 で、粗鋼生産国内5位の鉄 鋼メ一力一「武漢鋼鉄集 団」の巨大は敷地がある。
昨年12月24 日、濃いスモッ グの立ちこめるなか、午後 4時半の定時で退社する従 業員の乗る電動自転車が、 正門から次々出てきた。
「残業なんてないから。 それどころか、今は給料が カットされてるの」と、社 員の女性は言う。
正式 に発表されていないが、従 業員の間には大リストラの うわさが駆けめぐる。男性 社員(31)によると、まず6 千人を対象に給料を大幅カ ットして自宅待機の措置が とられ、年が明けたらさら に5千人という。
グループ 約10 万人の1割以上が対象 で、残る社員も給料が2割 減らされるとの話もある。
昨年1~9月期には上場 子会社が10億元約180 億円)の赤字に陥り、ライ バルの宝山鋼鉄との合併ま でささやかれる。
安定の象 徴と思われてきた職場から はいま、若者が転職を考え 始めている。
鉄鋼は余った生産能力が 日本の年間生産の4倍とも 言われ、中国の産業界全体 を覆う「つくりすぎ」の象 徴だ。次々と進む開発工事 をめがけて増産を重ねてき たが、その伸びが止まった いまも各社は過剰な生産能 ガを抱える。
鋼材価格は下 がり続け、昨年1~10月は 国内主要101社のほぼ半 数が赤字だったとされる。
同じクリスマスイブの 日。
ここから南西へ25 キロの 新興の工業地区にある「イ オンモール武漢経開」で は、ユニクロやニトリなど の有力テナントに会計待ち の客があふれ、夕食時のレ ストランは残らず順番待ち の列がでぎていた。
延べ床 面積は、イオンが中国で持 つ店では最大の27万平方メートル ある。
親子3人で訪れてい た会社員の女性は「よ そで見たことのない品物が ある。高いとは思わない」 と目を輝かせた。
伝統的な産業の沈滞とは 対照的に、個人消費は底堅 い。収入が伸びてより良い ものを求める中間層は、内 陸部にも育っている。
政権、企業淘汰急ぐ
中国の経済界でいま、 「供給側(サプライサイド一 改革」という言葉がにわか に流行する。
昨年11月、習 近平国家主席が初めて用い た。
公共事業などで「需要 側」を喚起するだけの経済 政策から、生産を担う企業 側にも変化を促す改革と受 け止められている。
最大の標的は、長年の課 題だった過過剰生産能力だ。 「つくりすぎ」の現象は、 鉄鋼やセメントからスマー トフオンなど幅広い分野に 及ぶ。
李克強首相は「ゾン ビ企業の整理・退出を急 ぐ」との方針を示した。
政催が、雇用に影響が出 るために避けてきた企業の 淘汰に乗り出す根拠が、 消費の強さだ。
1億人を 超えたとされる中間層がモ ノやサービスを求め、雇用 を吸収してくれると見込 む。GDPでサービス業な ど第3次産業が占める割合 は昨年、初めて50%を超えた。
ただ、その消費者が欲し い商品を、中国のなかでつ くりきれていない。
日本な どでの「爆買い」で、消費 が国外へ「逃げる」現象 も、供給側改革の課題だ。
製造業など古い企業を減 らす一方、技術革新でさら に消費を促す改革は、 「言 うほど簡単ではない」 (政 府系シンクタンク研究者) 旧来型産業の不振はより鮮 明になり、政権を成長エン ジンの切り替えに駆り立て ている。