- 契約書の解説のページです。
- 業務委託契約書について、分かりやすく、説明いたします!
請負契約書について
これを読めば、業務委託契約書が分かり、委任者・受任者のどちらの立場からも 自己に有利な契約書が作成できます!
目次
1.そもそも業務委託契約って?
業務委託契約とは、様々な業務の遂行を第三者に行わせる契約を言います。
ここで、様々な業務とは、営業行為の代行・経理のアウトソーシング・ プログラム開発等、法律行為や、単なる事務等の多岐に渡ります。
業務委託契約の法律的な分類ですが、委任契約や請負契約に分類されます。
ここでは主に、委任契約を基礎とする業務委託契約について お話させて頂きます(請負契約についてはこちら
委任契約は、民法の643条以下に規定されています。
第十節 委任
(委任)第六百四十三条
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、 相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
例えば、土地を売るために不動産屋さんに依頼したり、 営業代行の業者に自社の営業行為を行ってもらったりする場合を 言います。
契約書はなくても業務委託契約契約は成立しますが、 後の紛争時の裁判時の証拠 として、契約書は 必須となります。
ここで注意点ですが、委任契約の契約目的は、「法律行為」ですが、 単なる事務である、ポストに葉書を入れてもらう等の 「法律行為でない事務の委託」 も、契約の内容とできます (準委任 656条)。
業務委託契約書作成上は、 この643条条の内容を契約書の前文等で、具体的に確認しておく必要が あります(他の契約、特に請負契約との違いを明確にするという理由もあります)。
2.業務委託契約上の委任者と受任者が負う義務とは
業務委託契約は、委任者から「事務の処理」を受任者に依頼し、 受任者がそれを承諾することによって成立します。
とすると、 受任者は業務委託契約書で規定された「委任事務」を処理する義務を負います (644条)。
業務委託された事務を行うときは、「善良な管理者の注意(善管注意義務)」をもって、委任事務を処理する必要があります(644条)。
付随的な義務としましては、業務委託された事務に関する「報告」義務や(645条)、業務委託された事務を処理する間に受け取った物等を、委任者に引き渡す「引渡」義務(646条1項)等があります。
ここで注意点ですが、 委託者は原則、「報酬を支払う」義務を負いません! 632条)。
ですので、 業務委託契約書には、「報酬の支払い」に関する規定を設ける必要があります (648条1項)。
ここで、業務委託契約では、委任者は業務委託契約の内容たる「事務の処理に必要な費用を前払い」する義務があります(649条)。
ですが、様々な事情から前払いに応じることのできない委任者も存在します。
その場合は、 業務委託契約書中で、費用の支払い時期について明確に定めておくとよいと思われます。
ここで、報酬の支払い時期ですが、民法648条2項では、
(受任者の報酬)第六百四十八条
2 受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、第六百二十四条第二項の規定を準用する。
と、ありますので、委託契約上の 委任事務の終了後に請求する 必要があります。
ですが、事務の内容によっては、ある一定の期間での支払いが必要な場合もありますよね。
そういうときは、 業務委託契約書中に、期間に応じた支払い等、定めておく必要が あります。 (民法648条2項但書き)
3.業務委託契約書に貼付する印紙代は?
継続的な業務委託契約については、貼付する印紙代は、原則的に4000円となります。
もっとも、業務委託契約が3か月以内で終了する契約内容であれば、印紙は不要となります(業務委託の契約内容として、更新の規定があれば、印紙が必要となります)。
4.受任者による報告の具体的内容って?
(受任者による報告)第六百四十五条
受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。
業務委託契約では、委託業務の受任者は、いつでも事務の処理の状況を「報告」する必要があります。
これは、業務委託契約の性質が、請負契約とは違い、仕事の完成を目的とせず、受任者の善管注意義務にに基礎を置く事務処理にゆだねることを業務委託契約の本質とするために要求されるものです。
とすると、業務委託契約の委任者は、受託者が業務委託契約に定められた事務を適切に処理しているかを「報告」によって把握する必要があります。
ですので、委任者の立場からは、業務委託契約書で、定期的な報告を定める必要があります。
反対に、受任者の立場からは、業務委託契約書で、報告義務を削減(期間の削減や、書面での通知をメールにする等)、または、無くす規定を置くと、事務の処理に専念できます。
5.報酬が受けられない?
上記の2.業務委託契約上の委任者と受任者が負う義務とは、でも説明しましたが、業務委託契約を委任契約として定めた場合、原則として報酬の支払いはありません(民法648条1項)
これは、ローマ法依頼の業務委託契約・委任契約の考えで、業務委託契約や委任契約は信頼関係に基礎を置く高級労務であるとの理解から、報酬の支払いをアテにすることは、業務委託契約の性質に反すると考えられたことからであります。
ですので、業務委託契約書には確実に報酬の支払いの規定は定めて置かなければなりません。
うっかり忘れた場合や、口約束だけで業務委託契約を結んだ場合には、後日の紛争時に、報酬が一切受けられなくなることが考えられます。
6.再委託(復委任) って可能?
業務委託契約は、受任者との信頼関係に基礎を置く契約ですから、委任者側からすれば、業務委託契約の事務を委任者の知らない他の者に処理されることは、好ましくない状況となります。
他方、業務委託契約の受任者としましては、再委任できれば、より多くの業務を受任できることから、再委任をする必要性があります。
この点、民法では、再委任に関する規定は置いておりませんので、業務委託契約書中で明確に定めて置かなければ、後日の紛争の元となります。
ですので、業務委託契約の委任者としましては、業務委託契約書中で、再委任禁止規定を定めて置く必要があります。
他方、業務委託契約の受任者側からは、再委任を可能とする条項を業務委託契書中に定めて置く必要があります。
7.業務委託契約のその他の問題
委任者は民法651条を根拠に自由に業務委託契約を解除できますか?
できない、と考えられます。
民法651条は以下のように規定しています。
(委任の解除)第六百五十一条 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
ですが、報酬の支払いを期待している業務委託契約の受任者としては、突然の業務委託契約の解除は困りますよね
ですので、業務委託契約の受任者としては、民法の規定に任せるのではなく、 委任者による業務委託契約の自由な解除は制限しておくべきだと思われます。
逆に、業務委託契約の委任者からは、業務委託契約の解除事由を多めに規定しておくことが良いと思います。
以上、請負契約書の問題を色々お伝えしましたが、 請負契約書のひな形では個別の取引に十分対応するものはありませんし、 一から作ることも労力のいることです。
また、他の事務所では、料金が高額になることがほとんどです (特に英語の契約書では、10万円以上はかかります)。
当事務所では、契約書作成のプロフェッショナルが、契約書作成業務をメインに 扱うことで、一律3万円という格安な料金で請負契約書(英語・日本語)をお作りすることが 出来ます。
ご注文も簡単です。
取引内容と、ご希望の条件をメールに添付して頂くだけで、ご自分側に 最適な請負契約書が完成いたします。
ご不明な点がございましたら、下記からお問い合わせくださいませ。